Kちゃんの興味をひいた男
前回の続きです。新メンバーが舞台の上でK氏のダメ出しを受けていたのを見ていたA氏。
こんな時、ポジティブな人間なら、
(彼らもがんばってるんだ。オレだって、このくらいでへこたれてたまるか)
と考えるでしょう。
しかし、そのときのA氏は何年にもわたる貧乏生活で、俗物に変わり果てていました。
(ダメ出しを受けても、とりあえずギャラが出るヤツはいいよな……)
すっかりひねくれて、あたりを見まわします。まわりにはサンドイッチや飲み物などが置かれ、いつでもつまめる状態。
しかし、関係者はお腹が満たされているのか、休憩になってもそれらに目をやりません。
(この余ってるの、くれねえかなぁ……)
泣き叫ぶ胃。訴える腸。わびしすぎます。
(もうなんの仕事でもいいから、パーッとお金が入ってこないかなあ。チマチマ原稿なんか書いてたって、いくらにもなんねえじゃん……)
ふてくされて舞台に目をむけると、リハーサルは休憩になっていました。そして、あの「Kちゃんファミリー」総帥K氏がサンドイッチの周辺に降りてきました。
そして、たまたまA氏のそばに腰掛けたのです。
すると、「?」という視線。興味深げにA氏を見ている「Kちゃん」。
A氏の原稿にダメ出しをした先輩に、「あのコ、だれ?」と聞いたのです。